B型肝炎ウィルスとC型肝炎ウィルス

B型肝炎ウィルスとC型肝炎ウィルスは、肝炎の主な原因として知られています。これらによる肝炎はウィルス性肝炎と呼ばれ、肝硬変や肝癌につながることもあるため、適切な治療を行う必要があります。

肝炎ウィルスにはA~Eの型がありますが、ここでは血液や体液を介して感染し、医療現場で見かけることの多い「B型肝炎」と「C型肝炎」について記します。

B型肝炎

B型肝炎ウィルスはDNAウィルスに属しています。外被にはHBs抗原、芯の部分にはHBc抗原とHBe抗原を持っています。そのさらに内側にDNAが存在しています。また、外被タンパクの組み合わせから、「adw」「adr」「ayw」「ayr」の4つの「サブタイプ」に分けられます。

HBs抗体とはHBs抗原に対する抗体で、過去にB型肝炎ウィルスに感染していたか、ワクチンを接種した後に陽性となります。血液検査で「HBs抗原陽性」とはB型肝炎ウィルスに感染していることを意味します。HBs抗体は「中和抗体」と呼ばれ、抗原に結合して抗原の活性を消失させる働きがあります。しかし、サブタイプが異なるB型肝炎ウィルスの感染では、HBs抗原とHBs抗体が両方とも陽性である場合があります。

HBc抗原はB型肝炎ウィルスを構成するタンパク質で外被の内側に存在します。そのため、検出が難しく日常的な検査が難しいとされています。HBc抗体が低値であるときは、過去にB型肝炎ウィルスに感染していたことを示します。高抗体価の場合は現在B型肝炎ウィルスに感染していることを示し、ほとんどはHBs抗原も陽性です。

B型肝炎ウィルス感染初期に出現し、2~12か月に陰性化するマーカーとして「IgMHBc抗体」があります。高抗体価陽性ではB型急性肝炎、低抗体価陽性ではB型慢性肝炎の急性増悪やB型急性肝炎を意味します。たとえHBs抗原が陰性である場合でもIgMHBc抗体が陽性であればB型急性肝炎が疑われます。

HBe抗原はB型肝炎ウィルスの増殖時に産生される可溶性タンパクです。陽性であるときは血液中のB型肝炎ウィルスの量が多く感染性が強いことを意味します。HBe抗体はウィルスの増殖が減退し、HBe抗原産生がHBe抗体量を下回るとHBe抗体が検出されます。HBe抗体が陽性の場合、ウィルスは存在するが量は少なく、慢性肝炎では活動性・感染性は低いことが多いとされています。

感染経路

B型肝炎ウィルスは血液や体液を介して感染し、多くは母子感染によるものです。出産の際に産道で血液を介して、生まれる子供が感染してしまいます。しかし、国内ではワクチン接種が一般的となっており、垂直感染の数は減少しています。また、性的接触による感染も考えられます。

 

C型肝炎

C型肝炎ウィルスB型肝炎ウィルスとは異なり、RNAウィルスです。さらに、エンベロープを持っています。血液を介して感染し、急性肝炎を呈することが多く、60~70%は慢性化し、肝硬変や肝癌へ移行することがあります。

HCV抗体はC型肝炎ウィルスに感染すると血液中に現れ、発症2週間以降に陽性化しますが、ときには6か月後に陽性となることもあります。抗体価が低いときには過去の感染、高いときには現在の感染を示していますが、中間的な値では過去の感染と現在の感染の両方が考えられます。

そのため、HCV-RNA検査により両者を鑑別します。HCV-RNA検査はHCVのウィルス量を調べる検査で、PCR法と呼ばれる方法が用いられます。C型肝炎の進行に伴いHCV-RNAの値が高値になります。

 

原因

B型肝炎ウィルスと同様に血液を介して感染し、空気感染や経口感染はしません。国内では、注射針の使いまわしや医療機関での針刺し事故、古い時代の血液製剤使用、入れ墨、ピアスなどで感染するとされています。C型肝炎ウィルスでは、性的接触や垂直感染は少ないとされています。

抗血小板薬

血栓脳梗塞心筋梗塞の原因となるため予防が必要です。予防のためには血栓形成を防ぐ薬を服用します。血栓の形成は、血管が傷つくことで始まります。血管が損傷すると血小板の粘着性が高まると同時に血小板内で「トロンボキサンA2」の産生が亢進します。さらにトロンボキサンA2は血液中に放出され、「セロトニン」の作用により血小板が凝集を始めます。

また、凝固因子の活性化によりタンパク質の一つである「フィブリン」が産生されます。そして活性化された血小板がフィブリンや赤血球とともに血栓を形成します。

本来であれば、出血を止めるための機構ですが、個人の体質、血栓の性質や形成される場所によっては大事に至ることがあります。そのため、抗血小板薬や抗凝固薬の服用により予防する必要があります。

 

抗血小板薬

アスピリン

トロンボプラスチンA2は血小板内でプロスタグランジンから作られますが、少量のアスピリンを投与すると、シクロオキシナーゼの抑制を介してプロスタグランジンの産生が抑制されます。その結果、トロンボキサンA2が減少し血栓形成が抑制されます。

しかし、アスピリンは大量に投与するとプロスタグランジンの一つであるプロスタサイクリンの産生が抑制されます。プロスタサイクリンは血小板凝集を抑制する働きがあります。そのため、アスピリンの大量投与では血小板凝集が生じ、血栓ができやすくなってしまいます。(アスピリンジレンマ)

 

製剤例・・・アスピリン バイアスピリン など

 

オザグレルナトリウム(トロンボキサン合成酵素阻害薬)

オザグレルナトリウムはトロンボキサンA2を作る際に必要なトロンボキサン合成酵素の働きを妨げ、プロスタグランジンからトロンボキサンA2の産生を抑えることで抗血小板薬として効果を発揮します。

トロンボキサンA2に変換されなかったプロスタグランジンはプロスタサイクリンの材料となり血小板凝集抑制作用を示します。

オザグレルナトリウムはトロンボキサンA2の産生抑制に加え、プロスタサイクリンの作用により血栓形成を抑制します。

 

製剤例・・・オザグレン オザグレルNa キサンボン カタクロット ベガ ドメナン など

 

チクロピジン塩酸塩・クロピドグレル硫酸塩・プラスグレル塩酸塩(ADP受容体拮抗薬)

血小板が活性化されるとATPやADP、Caイオン、セロトニンが放出され、これらは血小板凝集を促進します。ADP受容体拮抗薬は、血小板膜上の「アデノシン二リン酸(ADP)」受容体を阻害することで血小板の活性化・凝集を抑制します。

また、cAMPの濃度上昇によりトロンボキサンA2の産生を抑えるとも考えられています。

 

製剤例(チクロピジン塩酸塩)・・・パナルジン

製剤例(クロピドグレル硫酸塩)・・・プラビックス

製剤例(プラスグレル塩酸塩)・・・エフィエント 

 

サルポグレラート塩酸塩

血小板は活性化すると、血液中にセロトニンを放出して他の血小板を活性化させます。サルポグレラート塩酸塩はセロトニン受容体を遮断して、血小板凝集を抑えます。

 

製剤例・・・アンプラーグ サルポグレラート塩酸塩 など

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糖尿病治療薬の種類

スルホニルウレア(SU)系

スルホニルウレア系薬は、膵臓のランゲルハンス島β細胞に存在するSU受容体に作用し、カルシウムイオンを増加させインスリンの分泌を促進する。

さらに、筋肉のブドウ糖を取り込む力を向上する作用や肝臓からのブドウ糖の放出を抑える作用をもつ。

 

製剤例・・・アマリール オイグルコン ダオニール グリミクロン など

 

ピグアナイド(BG)系

私たちの体内では、肝臓でグリコーゲンが分解されてブドウ糖になる糖新生がという現象が起きている。ピグアナイド系薬は糖新生を抑え、糖が腸から吸収されにくくしインスリンの反応性を向上させる作用を持つ。

 

製剤例・・・メトグルコ メデット メルビン グリコラン ジベトス など

 

インスリン抵抗性改善薬

インスリンが十分に分泌されているにも関わらず血糖値が異常高値を示す場合にはインスリン抵抗性が亢進していることが疑われる。この原因としてTNF-αというサイトカインの増加が挙げられる。TNF-αはPPAR2と呼ばれる、脂肪細胞の分化を促進する物質の働きを弱めるとされている。インスリン抵抗性改善薬はTNF-αの働きを抑え、PPAR2の活性を高めることで、インスリンの反応性を改善すると考えられている。

 

製剤例・・・アクトス アメル ピオグリタゾン錠「~」 など

 

αグルコシターゼ阻害薬

食物中の糖は唾液によって二糖類に分解され、腸に存在しているαグルコシターゼという酵素によりブドウ糖に分解・吸収される。αグルコシターゼ阻害薬は、二糖類に似た構造をとっているため、αグルコシターゼと結びつき、本物の二糖類と反応しにくくする働きを持つ。その結果、ブドウ糖に分解されるまでに時間がかかり、糖の吸収が穏やかになるため、急峻な血糖値の上昇を抑えることができる。

 

製剤例・・・ベイスン セイブル グルコバイ など

 

アルドース還元酵素阻害薬

糖尿病が進行するとグルコースの処理がうまくいかず、ソルビトールとして蓄積される。ソルビトール神経細胞に蓄積すると、細胞の機能低下や血流低下などにより神経組織に障害を与える。

アルドース還元酵素阻害薬は、グルコースソルビトールに変換される過程で働くアルドース還元酵素の働きを阻害し、ソルビトールの生成を抑える。

 

製剤例・・・キネダック エパルレスタット など

 

DPP-4阻害薬

食事を摂取すると消化管からインクレチンというホルモンが分泌され、インスリンの分泌を促進する。インクレチンはグルカゴンの放出を抑制するが、血糖値が80mg/dlを下回るとインスリン分泌促進作用とグルカゴン放出抑制作用を停止する。そのため、インクレチンの分泌により低血糖を起こすことは少ないと言える。

インクレチンは食事の摂取後に分泌されても、DPP-4(ジペプチジルペプチターゼ)により分解されてしまい、インスリンの分泌を促進する作用は期待外れなものとなる。DPP-4阻害薬はインクレチンの分解を抑え、作用を持続させることで血糖値の上昇を抑える。

 

製剤例・・・エクア ネシーナ トラゼンタ オングリザ テネリア ジャヌビア スイニー など

 

GLP-1アナログ製剤

インクレチンの中でもGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)を注射で補い、GLP-1受容体を刺激してインスリンの分泌を促進する。本来、GLP-1はすぐに分解されてしまうがGLP-1アナログ製剤はGLP-1が長時間持続するように構造を改良している。

 

製剤例・・・トルリシティ ビクトーザ ビデュリオン バイエッタ リキスミア など

 

SGLT2阻害薬

糖は腎臓(近位尿細管)から再吸収されるが、過剰となると再吸収されず尿へ排出され「尿糖」となる。糖が再吸収される際にはSGLT(ナトリウム・グルコース共輸送担体)という物質が関与する。SGLTには1と2が存在しているが、糖の再吸収に積極的に関わるのはSGLT2である。SGLT2阻害薬はSGLTを阻害し、糖の再吸収を抑え尿中に糖を排出することで血糖値を下げる作用を持つ薬である。

 

製剤例・・・ジャディアンス カナグル フォシーガ デベルザ アプルウェイ ルセフィ スーグラ など

糖尿病

糖尿病とは

糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンが不足することで起こる、糖やタンパク質、脂質の代謝異常です。糖尿病には1型と2型の2種類があり、他の疾患によって発症することもあります。発症は様々な遺伝子異常に起因します。症状としては、糖によって生じる浸透圧による多尿や、口渇・多飲、易疲労感、空腹感・多食などが挙げられます。また、血液中のブドウ糖は、高濃度になるとタンパク質と結合して複数の合併症を引き起こすことが知られています。

血糖値はどのように調節されるのか

血糖値とは血液中のブドウ糖濃度を表しています。食物から摂取した糖質(デンプン)は唾液や膵液によって分解された後、小腸でグルコースに分解されます。さらにグルコースは種々の過程を経てグリコーゲンとなり、肝臓や筋肉に蓄えられます。

 血糖値は膵臓から分泌されるインスリンとグルカゴンによって調節されています。インスリンは細胞膜の受容体と結合して、体内のブドウ糖を使用したり、グリコーゲンを新生することで血糖値を下げています。グルカゴンはグリコーゲンの分解を促進して血糖値を上げます。

1型糖尿病

インスリンを分泌する膵臓のB細胞が破壊され、インスリン量が不足することで起きます。そのため、治療にはインスリン注射が必要です。多くは子供のうちに発症しますが、ウイルス感染などが原因となり、B細胞に対する自己抗体が産生されることで引き起こされることがあります。

 糖の代わりに脂肪がエネルギーとして使用され、体重の顕著な減少が起こります。さらに、ケトン体を生じることから、ケトアシドーシスを起こしやすくなります。

2型糖尿病

2型糖尿病はインスリンの標的臓器である肝臓や筋肉がインスリンに反応しなくなる「インスリン抵抗性」により、ブドウ糖が細胞内に取り入れられなくなることで起こります。インスリンの量が絶対的に不足する1型糖尿病に対し、2型糖尿病ではインスリンの受容体が減少したり、受容体の後段でトラブルが生じるといった現象が体内で起きています。遺伝的素因のほか、肥満や食事内容、運動不足などの生活習慣がインスリン抵抗性を助長している場合も多く、代表的な生活習慣病とも言えます。

 治療では、食事療法や運動療法が行われ、高糖尿病薬を服用します。進行するとインスリン注射を使用することになります。

糖尿病の合併症

 糖尿病では血液中のブドウ糖濃度が上昇することで様々な合併症を招きます。特に影響を受けるのは身体中の微小血管で、各臓器に分布する毛細血管や細小動脈の基底膜が肥厚し、細小動脈硬化症を起こします。腎臓では糸球体基底膜、眼球では網膜において微小血管傷害を呈し、その結果として腎障害や網膜症に至ります。

 高血糖の状態が長期間に及ぶと神経細胞における代謝異常や微小血管傷害のため、末梢神経障害は感覚障害や自律神経失調をきたします。感覚障害では痺れ、こむら返り、疼痛などが代表的な症状です。自律神経障害では、臓器の活動や恒常性を司る神経がおかされるため、消化管機能の低下や血管運動神経の障害によるめまい・立ち眩み、排尿障害、勃起障害がみられます。

 これらの腎症、網膜症、末梢神経障害は糖尿病の「トリオパチー」と呼ばれ、糖尿病患者さんに頻発する合併症です。

 他にも糖尿病では肥満・高血圧・高脂血症などに伴い、冠状動脈や脳動脈、大動脈、四肢の動脈に粥状硬化を引き起こすため、心筋梗塞脳梗塞、末梢循環障害を合併しやすくなります。

 さらにインスリン欠乏のため好中球の解糖系が抑制されていることに起因する貪食能低下に加え、末梢血管障害のため血流が減少し、各組織が低酸素状態となるため易感染性も惹起されます。

 

 

 

 

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透析患者とリン・カルシウム

腎不全により透析を受けている患者では電解質の異常を呈するが、中でもリンとカルシウムの血清濃度異常は特に頻繁にみられる。

 

健常人のリン・カルシウム

健常人においては、Caは消化管からの吸収と尿中への排出によりバランスが保たれる。消化管でのCaの吸収は食物からのCa摂取とともに活性型ビタミンD3により調節される。ビタミンDの活性化は腎臓で行われる。ビタミンD3は食物からの摂取に加え、皮膚が紫外線を浴びることによっても作られる。活性型ビタミンD3は小腸におけるCaの吸収を促進させ、骨量の減少を抑える作用がある。

 

尿中への排出は糸球体濾過量と副甲状腺ホルモン(パラソルモン)の影響を受ける。パラソルモンは血液中のCa濃度が低下すると分泌が促進され、骨中のCaを取り出し、消化管からの吸収を促すことで血液中のCaを増加させる。また、尿中への排出を抑える。

対して甲状腺ホルモンであるカルシトニンは、パラソルモンと拮抗する働きを持つ。カルシトニンは消化管でのCa吸収と骨からの遊出を抑制し、血中Ca濃度を低下させる。そのため、腎臓からの排泄、骨形成を促進する。

 

体内のPのバランスは食物によるPの摂取と尿中への排泄により規定される。尿中への排泄は糸球体濾過量とパラソルモンの影響を受け、パラソルモンは近位尿細管でのPの再吸収を妨げることで尿中への排泄量を増加させる。

細胞外液中のCa濃度は血清P濃度の影響を強く受ける。血清P濃度が上昇すると「リン酸カルシウム」を形成し、血清Ca濃度は低下する。Pの値はビタミンD3の活性化にも影響を及ぼし、血清Pが増加すると活性型ビタミンD3の産生は低下する。

 

血清Caが低下すると・・・

・活性型ビタミンD3

 小腸でのCa吸収促進 → 血清Ca濃度上昇

・パラソルモン

 骨吸収 → 血清Ca濃度を上昇

 尿中へCa排泄減少 → 血清Ca濃度を上昇

 近位尿細管のP再吸収抑制(排泄増加) → 血清P低下

 

透析患者とリン・カルシウム

 透析患者のように糸球体濾過量が低下すると、腎臓でのPの排泄が減少し、血清P濃度は上昇する。そのため、腸管でのCa吸収を抑制し、骨へのCaの取り込みを亢進させ、血清Caは低下する。血清Ca濃度が低下すると、パラソルモンの分泌が増加する。

さらに、腎不全ではビタミンDの活性化が不十分であることから、腸管におけるCa吸収能は低下し血清Ca濃度も低下する。また、Caの低下に相応してパラソルモンの分泌は増加する。

 

このような状態は二次性副甲状腺機能亢進症を惹起する。腎不全患者の多くは、Caが低下しPが増加しており、副甲状腺が刺激されパラソルモンの分泌は促進され続けている。刺激され続けた副甲状腺は腫大し、血清Ca濃度に連動せずパラソルモンを分泌するようになる。過度のパラソルモンの分泌は骨よりのCa吸収による血清Ca濃度の上昇を起こし、骨病変の原因となる。さらには、カルシウムが軟部組織に沈着することで異所性石灰化を招く。

 

  

 

降圧薬の種類と作用機序

カルシウム拮抗薬

血管は平滑筋により伸縮している。平滑筋の収縮時には、平滑筋細胞にカルシウムが入り込み、血圧が上昇する。平滑筋細胞膜にはカルシウムイオンの入り口である「カルシウムイオンチャネル」が存在し、ここからカルシウムイオンが細胞に入ることで血管が収縮する。

カルシウム拮抗薬はイオンチャネルへのカルシウムイオンの侵入を阻止することで血管の収縮を抑え、血圧を下げる。

 

副作用として、顔の火照り、紅潮、頭痛、動悸、めまいなどを起こすことがある。

 

製剤例:アムロジン ノルバスク アダラート ペルジピン ランデル カルブロック など

 

ACE阻害薬

アンジオテンシンⅡが増えると血管が収縮し血圧が上昇する。ACE(アンジオテンシン転換酵素)はアンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡに転換するほか、ブラジキニンを分解する働きがある。ブラジキニンは血管内皮細胞の破壊に伴なって産生され、血管透過性を亢進させ、疼痛を引き起こすが、血圧降下作用を持つ物質でもある。

ACEの働きを阻害することで、アンジオテンシンⅡの産生とブラジキニンの分解が抑制されるため血圧が低下する。

 

アンジオテンシンⅡは、糸球体の輸入細動脈と輸出細動脈のうち、輸出細動脈をより収縮させる。ACE阻害薬は輸出細動脈を拡張させることで、腎臓を保護する作用があるため、糖尿病患者に頻繁に用いられる。

 

製剤例:エースコール コバシル タナトリル レニベース など

 

 

アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)

アンジオテンシンⅡは、アンジオテンシン受容体と結合することで血管を収縮させ、血圧を上昇させる。

ARBアンジオテンシン受容体を遮断することで血圧を下げる。

 

アンジオテンシン受容体は2つ存在している。アンジオテンシンⅠ受容体(AT1)はアンジオテンシンⅡに刺激されると血管を収縮させる。また、アルドステロンを分泌させてNaイオンの再吸収を促進させることで、血漿循環量を増加させ血圧を上昇させる。

対して、アンジオテンシンⅡ受容体(AT2)はアンジオテンシンⅡの刺激により、血管平滑筋を弛緩させる働きやNa利尿を促進させる働きを持つ。AT1のみを遮断するARBを特にAT1拮抗薬という。

 

製剤例:ミカルディス ブロプレス ディオバン(バルサルタン) ニューロタン

 

 

アルドステロン阻害薬

アルドステロンがアルドステロン受容体と結合すると、Naイオンの再吸収を促進し血圧が上昇する。

アルドステロン阻害薬は受容体への結合を抑えることでNaイオンの再吸収を阻害する。

 

腎臓に作用して水分とNaを排出するため、むくみが改善される。

 

製剤例:セララ(エプレレノン)

 

 

β遮断薬

交感神経の興奮は、ノルアドレナリンがβ受容体に結合して伝わる。β遮断薬は心臓のβ受容体を遮断することで、心拍数・収縮力を抑える。

 

β受容体を遮断すると、血管は一時的に収縮するが収縮力が弱くなっているため、末梢への血流が不十分となる。その結果、末梢血管は拡張して血液を流し込もうとして、降圧薬として効果は大きくなる。

 

製剤例:メインテート(ISA-) セレクトール(ISA+) アーチスト(カルベジロール) など

 

※「ISA」・・・Intrinsic Sympatthomimetic Activity(内因性交感神経刺激作用)

 交感神経を刺激する何らかの力が生じたときに限り、β遮断作用を発揮する。安静時には、β受容体をわずかに刺激することで徐脈を防ぐ。

 

α遮断薬

ノルアドレナリンはα受容体にも結合し、血管を収縮させる。α受容体にはα1とα2があり、両方を遮断すると血管の収縮は抑制できるが、ノルアドレナリンの増加を招く。そのため、血圧を下げる目的ではα1のみを遮断する薬剤が使用される。

 

α遮断薬は、グリコーゲンの分解を抑制し、血糖の上昇を抑える作用がある。また、血清コレステロールの減少やHDLの上昇など脂質代謝を改善する働きも持っている点で、他の降圧薬とは異なっている。

 

製剤例:カルデナリン デタントール ミニプレス エブランチル など

 

 

利尿薬

高血圧症に対しては、循環血液量を減らして血圧を下げる方法がとられることがある。サイアザイド系利尿薬は降圧剤としてよく用いられている。遠位尿細管でNaイオンの再吸収を抑えるため、水分が血管に引き込まれなくなり、循環血液量が減少する。

 

ループ系利尿薬はヘンレループの上行脚に作用し、NaイオンやKイオン、Clイオンの共輸送を阻害し、NaイオンとClイオンに加え、水分を尿中に排泄させる。

 

カリウム保持性利尿薬は遠位尿細管と集合管でのNa再吸収を抑え、Kの排出を抑制する。

 

近位尿細管での浸透圧上昇を利用して、水分の再吸収を抑制するものを浸透圧利尿薬と呼ぶ。

 

製剤例(サイアザイド系):フルイトラン ダイクロトライド べハイド など

製剤例(ループ系):フロセミド(ラシックス) ダイアート ルプラック など

製剤例(カリウム保持性):ソルダクトン アルダクトン ジウテレン など

製剤例(浸透圧利尿):D-マンニトール

 

赤血球関連の検査値

赤血球について

赤血球は、エリスロポエチンが骨髄中の赤芽球系前駆細胞に作用し、骨髄系幹細胞から分化・成熟した細胞である。

エリスロポエチンは腎臓で産生されヘモグロビンの産生を促す。また、細胞が成熟・増殖するためにDNAの合成が不可欠であるが、その過程ではビタミンB12葉酸が必要となる。

 

赤血球数(RBC)

・男性:4.27~5.70(×10^6/μL) 女性:3.76~5.00(×10^6/μL)

赤血球数は自動血球計数器で測定される。Hbやヘマトクリット(Ht)などの値も同時に測定される。

赤血球に影響を及ぼす因子

・造血幹細胞の異常 - 再生不良性貧血 真性多血症

・DNA合成にかかわる異常(葉酸ビタミンB12の欠乏) - 巨赤芽球性貧血 

エリスロポエチンの異常 - 腎性貧血

・失血や溶血 - 溶血性貧血 出血

ヘモグロビン(Hb)

・男性:13.5~17.6(g/dL) 女性:11.3~15.2(g/dL)

・ヘモグロビンは酸素と結合し輸送する機能を持つことから、値の低下は貧血症状に直結する。

・ヘモグロビンはタンパクである「グロビン」と鉄(ヘム)が結合した複合タンパクである。

ヘモグロビンの低下

赤血球産生障害

・鉄欠乏性貧血

・ヘム合成異常 - 鉄芽球性貧血

・グロビン合成異常 - セラサミア(地中海貧血)

ヘマトクリット(Ht)

・男性:39.8~51.8(%) 女性:33.4~44.9(%)

ヘマトクリット赤血球が全血に対して占める容積率を表している。

ヘマトクリットが上昇すると、血液は粘性を増す。

・腎不全などにより血液が希釈されるとヘマトクリットは低下する。

・多血症においてはヘマトクリットが上昇し、過粘度症候群となりえる。

過粘度症候群

赤血球が異常に増加することで血管内において血液凝集や血栓症が起こる。

・血液中のマクログロブリンの増加や、赤血球が毛細血管を通過する際の変形能の低下によっても起こる。

 ・マクログロブリン血漿タンパクに含まれる高分子量グロブリン

  ・グロブリン血漿タンパクの一種

心不全血栓・頻呼吸や無呼吸などの呼吸障害・チアノーゼ・震戦・痙攣など種々の症状があらわれる。

・腎臓の血管に血栓が生じると腎臓の組織がダメージを受け、尿細管の傷害やタンパク尿があらわれる。

 

・血清鉄 男性:80~200(μg/dL) 女性:60~180(μg/dL)

・成人では体内に約3~4gの鉄が存在する。

・体内に存在する鉄のうち、60~70%は赤血球内にヘム鉄として存在する。

・体内に存在する鉄のうち、20~30%はフェリチンやヘモジデリンなどの貯蔵鉄として臓器や組織に存在している。

・血清鉄は早朝に高く夜間に向かって減少するといった日内変動を示す。

・血清鉄は感染症・悪性腫瘍・膠原病・慢性失血・鉄欠乏性貧血では低値となる。

トランスフェリンとTIBC・UIBC

・血清鉄は血漿中のトランスフェリンと結合しており、体内に存在する鉄としては0.1%程度に過ぎない。

 ・トランスフェリンは糖タンパクで、βグロブリン分画の多くを占める

 ・トランスフェリンは炎症のマーカーとして減少する。

 ・生体内において、単体の鉄は有害で不安定であるため、血中ではトランスフェリンと結合し安定している。

  ・血清中の鉄の99%以上がトランスフェリンと結合している。

  ・正常な血清中ではトランスフェリンの1/3が鉄と結合している。

   ・残りの2/3は遊離型で鉄と結合できる。

・TIBC(Total Iron Binding Capacity:総鉄結合能)はトランスフェリンが結合しうる鉄の総量である。

・UIBC(Unsaturated Iron Binding Capacity:不飽和鉄結合能)は血清中で鉄と結合していないトランスフェリンの量をいう。

血漿中の鉄が減少すると代償によりUIBCが増加し、鉄吸収の効率を高めようとする。

フェリチン

・男性:30~300ng/mL 女性:10~120ng/mL

・フェリチンは水溶性タンパク質で、肝臓や脾臓胎盤で合成される。

・貯蔵鉄の役割を担う。

 ・鉄が欠乏すると、初めに貯蔵鉄が減少し、次に血清鉄が低下する。

 ・血清鉄の低下が進むと赤芽球への鉄の取り込みが減少し、ヘモグロビンの合成ができなくなる。

・鉄欠乏では低値、鉄過剰では高値となる。

・成長期では低値、加齢に伴い増加する傾向にある。

・悪性腫瘍ではフェリチンは高値となるが、血清鉄は減少する。