ヘパリンと低分子ヘパリン

血液浄化療法で用いられる抗凝固薬として、ヘパリンや低分子ヘパリンがお馴染みですが、違いをきちんと説明できるでしょうか。

今回はこれらの違いを記事にしたいと思います。

 

ヘパリン(未分画ヘパリン)

 ヘパリンは血漿中のアンチトロンビンと結合し活性化することで、抗トロンビン作用により抗凝固作用を発揮します。その他、Ⅹaなどの凝固因子も阻害します。分子量は15000、半減期は40~90分程度です。透析開始時の投与から治療終了にかけての数時間、全身の血液の凝固時間が延長するため、出血病変がある場合、出血を助長する恐れがあります。また、陰性に荷電しているため、陽性に荷電している透析膜や医療材料に吸着されやすいという特徴があります。

 

低分子ヘパリン

 低分子ヘパリンは未分画ヘパリンよりも分子量が小さく4000~6000ほどです。また、未分画ヘパリンよりも糖鎖が短く、アンチトロンビンとは結合できるが、トロンビンとは結合できません。そのため、抗トロンビン作用は未分画ヘパリンのものよりも弱いと言われています。結合したアンチトロンビンは活性化され、Xaなどの凝固因子に結合します。このことから低分子ヘパリンはⅩaを阻害する抗Ⅹa作用により、抗凝固作用を発揮します。抗Ⅹa活性は、体外循環経路内の凝固防止効果が高く、凝固時間延長作用が弱いため、出血傾向のある場合でも、比較的リスクが低いとされています。半減期は2~4時間と未分画ヘパリンよりも長く、陰性に荷電しています。